紆余曲折の「床選び」編
『紆余曲折の「床選び」編』
何度かブログやみその通信などに登場している、川口市の愛犬家O様のお住まいが2018年8月初旬に完成しました。
初めてO様にお会いしてから1年ちょっと。
犬を飼ったことのない脇坂&伊藤(それを見守る橋本)でO様とワンちゃんがこれからこの家で楽しく住めるように何度もO様とお打合せ、ご自宅にて採寸させて頂いたりして家づくりを進めてきました。
このあっという間の1年…O様と彩スタッフがどんな風にこの『ぬくもりの家』を完成させたか、こだわりポイントを踏まえてご紹介したいと思います。
■O様と彩スタッフの出会い
「日当たりの悪い今の家で、一生を終えるのは嫌!」
そんな想いから、家づくりをスタートしたO様ご夫婦。
住宅雑誌に載っている弊社の『原山まちなかモデルハウス』の写真を見て、モデルハウスへご来場くださいました。
今のお家の日当たりこと
おそらくこれが最後の家づくりになるだろうこと
愛犬とこれからも一緒に住むためにいろんな雑誌などで勉強をしていること
などをお聞かせいただくうちにO様の情熱を感じ、私も全力でそのお手伝いがしたい!!と思ったことを今でも覚えています。
しかし、犬を飼ったことのない伊藤(お客様担当)&脇坂(設計担当)。
O様とワンちゃんがそれぞれ快適に楽しく過ごせる家ができるのか…小さな不安があったのも事実です。
それでも自分たちなりに調べて、
「こっちのメーカーにもあの商品ありました!」
「こっちの方が角が丸くて、ぶつかっても安心じゃないですか?」
なんて感じで情報共有を重ねて、O様にも様々なご提案をすることが出来ました。
そんな愛犬家O様と彩工房が一緒に作りあげた『ぬくもりの家』のこだわりポイント&エピソードをいくつかご紹介したいと思います。
■ワンちゃんも人もうれしい床材選び
「やっぱり、木の床は落ち着くね。」
原山まちなかモデルハウスを初めてご見学されたときから、無垢の床を気に入られていたO様。
ちなみに今お住いの家の床はツルツル滑るフローリングで、ワンちゃんが走ると滑って腰を痛めてしまうことも多く、床の上に敷物を敷いて滑りにくくしているのだとか。
この時まで私は、ワンちゃんには肉球があるから、どこを走っても大丈夫だと思っていました・・・
無垢の床の中でも滑りにくいもの…柔らかいスギとか、パインとかが良いのか?」
「いや、でも柔らかいものだと爪で傷がつきやすくないか?」
一人で頭の中をぐるぐる。
ようやく出た一言は・・・
「床に傷がつくのは大丈夫ですか?」
それを聞いたO様から
「できれば、傷は付きにくいほうがいいかな…」
そうですよね。
毎日毎日走り回るワンちゃん。
もしかすると、ものすごい傷だらけになってしまうかも;
ということで、ワンちゃんが滑らない、且つO様ご夫婦にも無垢の足触りを楽しんでいただける床材を探す旅が始まりました。
まずは情報収集から。
「滑らないタイル」
「カーペット」
「フローリングを滑らないようにコーティング」
など、いくつも対処方法は出てきましたが、どれも無垢床ではない。
ひとつひとつの材料を自分達の爪で引っ掻いてみるしかないか…と覚悟を決めていたところ、無垢床でも「浮造(うづくり)」という仕上げになっていれば滑りにくいという記事を発見!
浮造とは木の表面がボコボコになった感じの仕上げで、柔らかいスギやパインで出来る加工です。
(古い神社やお寺の木の廊下が一番イメージしやすいと思います)
このボコボコが走る時に爪を引っかかりやすくしてくれるのでお勧めと…。
確かにこの加工方法なら、無垢の足触りも楽しめるし、一石二鳥だ!!
早速この記事をO様宅にお届けしたところ、「『浮造』っていう方法があるのね!1階はこれで作れるといいな」と喜んでいただき、「あぁ、よかった~」と安心したと同時に、伊藤の頭の中に「床:スギ 浮造」の文字がピピピとインプット。
この仕上げでプランを進めていくことになりました。
■浮造では対応できないご希望が!!
浮造の床をイメージを膨らませならが間取りの打ち合わせが進んで行っていたある日、O様から新たなご希望が。
「実は、ワンちゃんが暖房とかの風が苦手で…床暖房をお願いしたいんです」
なんと!!床暖房!!
実は、無垢床は床暖房に対応した種類が少ないのです。
生きていた木を使うから、熱によって形が変形したり、ヒビが入ったり・・・
床暖房に対応して、
無垢の足触りはそのままに、
ワンちゃんが滑りにくい床。
この3つの内、どれかをあきらめなくてはいけないのか???
それとも他に方法があるのか???
会社の机で頭を抱えながら悶々としていた私。
ふと顔をあげると何やら笑顔でこっちを見ている部長筋野の姿が。
「そうか。なんでも知ってる筋野に聞けばいいのか」
と相談してみたところ、筋野はとっくに私が悩んでいたのを知っていた様子。
分厚い木材の見本帳を持ってきて、床暖房対応のページをめくりながら一緒に探してくれました。
(ニヤニヤ見てないで最初から教えてくれればいいのに…ブツブツ)
筋野「無垢の床とフローリングと同じような合板を組み合わせたものもあるけど、やっぱり天然の無垢材とは足触りが違うしなぁ…。しかも塗装の種類によっても変わるから素材にはこだわりたいね…」
伊藤「そうですね。ここまで来てニセモノの木は使いたくないです」
筋野「お!これいいんじゃない?! タモとかバーチとかの床暖房対応の無垢床だって」
伊藤「え?タモ??(タモリさん??)」
若干混乱しながらカタログを見てみると、確かに床暖房に対応と書いてあるばかりか、なんと『タモやクリなど適度な固さ、しっとり感があるものはグリップがききやすい』のだそう!
さらに色合いも上品でキレイ!!
すぐにサンプルを取り寄せ、O様と見てみました。
O様「確かに、繊維のところに爪は少し引っかかって、良い感じですね!」
伊藤「やったぁ!!」
という感じで、ようやく本物の木で足ざわりが心地よく、さらに床暖房にも対応してワンちゃんも滑りにくいという、納得の床材に出会うことができたのでした。
無垢の床ならなんでも良いという訳ではなく、お客様それぞれの暮らし方や好みに応じて的確にご提案できるだけの木の知識を身に着けないといけないな・・・と強く感じた伊藤なのでした。
今回の「床選び編」はここまでです。
お読みいただいてありがとうございました。
次回は、O様から希望された「ドッグバス」に、誰も犬を飼ったことがないShoei彩工房のスタッフが右往左往したお話をお伝えします。さいたまで注文住宅を建てたい方の参考になれれば幸いです。
担当伊藤が綴る「愛犬と幸せに暮らす家ができるまで」レポート